ファンケルは、2000年前後のネット通販ブームのころに叫ばれた「クリック&モルタル」戦略が、今後はその反対の「モルタル&クリック」に変わっていくと見ている。ネットと店舗で相乗効果を上げていく狙いそのものは変わらないが、クリック&モルタルでは主にネットの顧客を店舗に誘導する方向性が見受けられた。それに対し、ファンケルが考えるモルタル&クリックでは、店舗の顧客を利益率が高いネットに誘導することを意味する。

 ファンケルでネット通販を指揮する保坂嘉久・通信販売営業本部ネット通販営業部長は、「最近はネット広告の価格が高騰してきており、ネット上での新規顧客獲得コストが年々増加傾向にある」と指摘する。そのため、200以上ある店舗網を有効に使い、「店頭でネット販売の告知や顧客の勧誘をしたほうが効率的なケースが見られるようになってきた」という。

 店頭には訓練を受けた美容部員が常時待機しているので、顧客と直接コンタクトを取って顧客に合った商品を薦められるメリットがある。その後で「最終的な商品の注文や2回目以降のリピート購入には手軽なネット通販を利用してもらえればいい」

 ここで注目したいのは、ネット通販の顧客層とデパートなどに入居するファンケル店舗に来る顧客の年齢層がほぼ重なっている点だ。従来からあるカタログ通販の顧客の場合、最も多い年齢層は35~39歳の女性だが、一方でパソコンを使ったネット通販はそれより5歳若い30~34歳の層、携帯電話を使った通販はさらに5歳若い25~29歳の層と、ネット通販は中心顧客が典型的なF1層(20~30台前半の女性)で占められる。

 こうしたネット通販での年齢構成は、実は店舗の来店客とぴったり一致する。だから、店舗で顧客に商品を紹介し、ネット通販に誘導するのは理にかなっているというわけだ。